犬の瞳孔の大きさに左右差がある|その原因と対応について

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犬の瞳孔の大きさに左右差がある!


犬の瞳孔(黒目)は通常、左右で同じ大きさです。
光を感じた時に瞳孔は縮み小さくなり、暗い環境では瞳孔は開きます。
しかし、中にはその左右の瞳孔が全く異なった大きさになってしまう病気もあります。
今回はそんな瞳孔の左右差があるときに考えるべき病気を解説していきます。

■目次
1.瞳孔が動く仕組み
2.家で確認できる検査方法
3.瞳孔の左右差がある時に考えられる原因
 ホルネル症候群、緑内障、眼球腫瘍
4.まとめ

瞳孔が動く仕組み

瞳孔は光を感知すると縮み、暗いと開きます。

瞳孔が動く仕組みは、

  1. 眼の網膜という部分で光を感知
  2. 光が視神経を通って脳まで届く
  3. 脳から動眼神経を通って瞳孔を小さくする指令が届く
  4. 瞳孔が縮む

という流れで起こります。
光の刺激は、左眼、右眼それぞれの刺激が交わって脳まで届きます。
これにより光を感じた側の眼だけが瞳孔を縮めるのではなく、左右ともに瞳孔が縮まります。

家で確認できる検査方法


犬の瞳孔に違和感がある場合は、瞳孔の動きを確認する方法がありますので試してみてください。

まず、窓のない部屋に移動し部屋を暗くします。
通常暗い部屋にいる時は、犬の眼は瞳孔が開いているはずです。
片方の眼の瞼を人間の手で覆い、部屋を明るくしたときに、瞳孔が縮むかを確認してください。
また眼を覆っていた手を外し、そちらも同じように縮んでいれば正常です。
反対側も同じように確認してください。

もし暗い部屋でも瞳孔が開かない、変化がない、明るくしても瞳孔の大きさに変化がない場合は、何か病気がある可能性が高いため、動物病院へ相談しましょう。

瞳孔の左右差がある時に考えられる原因

この光を当てて検査をする方法は診察中にも実施され、どのあたりに病気が存在するかを視覚と併せて総合的に判断することが可能です。
ここでは左右の瞳孔の大きさが違う場合の原因として多い病気をいくつかご紹介します。

1.ホルネル症候群

ホルネル症候群は脳から眼に繋がる交感神経の経路の異常によって生じます。
この経路には脳幹という生命維持に必要な部分から首の脊髄、中耳、眼が含まれており、比較的軽度な中耳炎から重症な脳や神経の腫瘍まで様々な原因で起こります。

典型的な症状は

  • ・瞳孔が縮む
  • ・瞼が下がる(眼瞼下垂)
  • ・第三眼瞼(瞬膜)が出る
  • ・眼球が窪んで見える

といった4徴候があります。

多くは片方の眼にこれらの症状が見えるので、「左右の瞳孔の大きさが違う」とご相談に来られる飼い主様が多いです。

2.緑内障

緑内障は眼の水分の流れの変化により眼圧が高くなり、網膜の神経細胞が死ぬことにより視覚障害が生じる病気です。
通常は両眼に同時に起こることは少ないため、瞳孔の左右差が見られます。
緑内障には特徴的な「牛眼」と言われる症状が見られることがあります。

その他の症状は

  • ・眼を痛がる
  • ・眼が開けづらい
  • ・白目が充血している

などがあります。

緑内障になった犬は、眼圧の上昇から痛みから眼を閉じることが多いです。
そのため、飼い主様が瞳孔の大きさまで確認できることは難しいこともあります。

3.眼球腫瘍

犬は眼に腫瘍ができることもあります。
眼にできる腫瘍の場所は様々ですが、今回は瞳孔の左右差が見られることの多い内側と裏側に腫瘍ができた場合について解説します。
眼の内側に腫瘍ができた場合は、眼の中に炎症が起こり瞳孔括約筋が収縮します。
そのため炎症がある眼の瞳孔は縮み、左右の瞳孔に差が生じます。

その他にの症状は

  • ・眼球内の出血
  • ・眼の中に出来物が見える
  • ・結膜炎
  • ・痛み

などが見られます。

眼の裏側に腫瘍ができると視神経が麻痺し、光の刺激の通り道に障害が生じ、左右の瞳孔に差ができます。
最初は瞳孔の左右差のみの場合もありますが、次第に

  • ・痛み(稀)
  • ・眼球が出る
  • ・第三眼瞼(瞬膜)が出る
  • ・斜視

などが見られます。

まとめ

今回は瞳孔の左右差について解説しました。
瞳孔の左右差があると、眼の病気を一番に疑いたくなりますが、全身の病気の可能性や、命の危険がある病気の可能性もあります。
眼の裏にできる腫瘍は悪性である可能性が高いとされていますが、痛みが生じることは稀で気づくのが遅れてしまうこともあります。
犬の眼は、よく見ないと瞳孔の左右差を見つけることが難しいかもしれませんが、何かお気づきの際は早めに当院までご相談ください。

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