犬のパンヌスとは?|犬のパンヌス(慢性表層性角膜炎)の原因、症状、治療を解説

  • HOME
  • イベント情報
  • 犬のパンヌスとは?|犬のパンヌス(慢性表層性角膜炎)の原因、症状、治療を解説

犬のパンヌスとは?


「犬の眼が少しずつ濁ってきているけど、原因がわからない」
「動物病院で飼い犬がパンヌスかもといわれたが、治る病気なの?」
「飼い犬にずっと目薬をさしているが、眼の充血が治らない」

こんなことでお悩みではないでしょうか?
今回は犬の眼がだんだんと濁っていく難治性の病気であるパンヌスについて

  • ・犬のパンヌスとは?
  • ・原因
  • ・症状
  • ・治療法
  • ・パンヌスは治らない?

に分けて詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、飼い犬に当てはまるような症状がないか確かめてみてくださいね。

■目次
1.犬のパンヌスとは?
2.犬のパンヌスの原因
3.犬のパンヌスの症状
4.犬のパンヌスの治療
5.犬のパンヌスは治らない?
6.まとめ

犬のパンヌスとは?

犬のパンヌスとは眼の最表面の角膜に炎症を起こす疾患です。角膜に血管新生を起こしたり、角膜が白く濁ったりすることがあります。
血管新生とは角膜に向けて周囲から血管が入り込むことをいい、この状態がパンヌスと呼ばれています。
また、犬のパンヌスは慢性表層性角膜炎と呼ばれることもあります。

犬のパンヌスはジャーマンシェパードに多いとされていますが、どの犬種にも発症します。
ミニチュアダックスフンドやシェットランドシープドッグにも多いですね。

犬のパンヌスの原因

犬のパンヌスの原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。

・遺伝的要因

ジャーマンシェパードやそのミックス犬に多くみられることから、遺伝的な要因が関与していると考えられます。

・紫外線暴露

犬のパンヌスは紫外線の強い高地での発生率が高く、紫外線による角膜へのダメージもあるのではと言われています。

・免疫系の異常

犬のパンヌスは自己免疫疾患ともいわれています。

自己免疫疾患は免疫が本来の働きをせずに暴走してしまい、自分自身の正常な細胞や組織に過剰に反応して攻撃をしてしまうことをいいます。

犬のパンヌスの症状

犬のパンヌスは両眼に発症する進行性の病気です。
下の写真のように角膜にピンク色のできものを形成します。


その他の角膜疾患との鑑別は必要ですが、これが犬のパンヌスでみられる特徴的な症状です。 

犬のパンヌスは発症時の年齢が若いほど、病気の進行が早く重症化することが多いです。
重症例では失明してしまう可能性もあります。

愛犬のちょっとした変化に気がつけるように、日頃から心がけておくのが大切ですね。

犬のパンヌスの治療

犬のパンヌスの治療は一般的に困難と言われています。様々な治療法があり、状況に応じて獣医師に選択されます。

この章ではそれぞれの治療方法について解説します。

・ステロイド点眼薬

ステロイドは炎症を抑える働きがあり、角膜の炎症を抑える目的で使用されます。
症状によって、使用されるステロイドの種類が変わることもあります。

・免疫抑制剤

免疫抑制剤は過剰な免疫を抑える働きがあります。シクロスポリンやタクロリムスといった免疫抑制剤の眼軟膏が使われることがあります。

・外科治療

ステロイドや免疫抑制剤での治療でコントロールが難しい症例では、外科治療が併用されることもあります。

犬のパンヌスは治らない?  

犬のパンヌスはステロイドや免疫抑制剤に対する治療反応はよいといわれています。

上の写真は犬のパンヌスの治療前と治療後の比較写真です。
写真を見ると病変部が治療によって、きれいになっているのが分かります。
しかし、完治は難しい病気であるため、長期的な治療が必要になります。

一度、良くなったといって投薬をやめると再発をしてしまうことが多いです。
また、長期的にステロイド点眼薬が必要になるため角膜潰瘍や感染症などのステロイドの副作用にも注意が必要です。

症状の悪化を防ぐために継続的な治療と動物病院での定期的な診察が不可欠ですね。

まとめ

犬のパンヌス(慢性表層性角膜炎)は角膜に炎症を引き起こす慢性的な眼の病気です。
この病気は完治することは難しいですが、早期の治療と継続的な管理により症状をコントロールし、視力を保つことが可能といわれています。
パンヌスは特定の犬種に多くみられるため、特にジャーマンシェパードやミニチュアダックスフンドなどの飼い主は注意が必要です。
飼い犬の眼の健康を守るために、普段の生活から愛犬のことをよく観察して気になる症状があれば早めに動物病院に相談しましょう。

■眼科の記事はこちらでも解説しています
犬と猫のぶどう膜炎について|白内障や緑内障につながることもある
犬と猫の結膜炎について|まぶたの裏側と白目に症状が現れる
犬の自発性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs)について|角膜潰瘍が治りにくいと感じたら
犬の目やにが増える理由|病気が隠れているかも
犬の目の周りが腫れている?|考えられる原因と対策について

診療案内はこちらから

当院のLINE公式アカウントから簡単に予約が可能です

奈良県生駒市の動物病院

Rootsどうぶつ病院