犬の眼に免疫抑制剤はいつ使うの?|ドライアイにシクロスポリン眼軟膏を使う理由

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犬の眼に免疫抑制剤はいつ使うの?


犬の眼の病気にはさまざまなものがあり、中には普段聞き馴染みのない薬を使うことがあります。

その中の一つにシクロスポリンという免疫抑制剤があります。

「免疫抑制剤ということは免疫力下がっちゃいそうでなんか怖い…」

そんなふうに考えてしまう方も多いのではないでしょうか?

今回は免疫抑制剤のシクロスポリンとはどういうものなのか、どういう時に使われるのかを解説していきます。

■目次
1.シクロスポリンとは何か
2.犬のドライアイ(乾性角結膜炎)とシクロスポリン
3.その他の眼科疾患でシクロスポリンの利用
4.シクロスポリンの副作用
5.シクロスポリンの実際の使い方
6.まとめ

シクロスポリンとは何か

冒頭でお話ししたようにシクロスポリンは免疫抑制剤の一種です。

体で起きている過剰な免疫反応を抑えるために用いられることが多く、人間でわかりやすい例でいうと臓器移植などの際に用いられるます。

臓器移植は本来自分の体の臓器ではないものが体に入るので、過剰な免疫反応が生じて拒絶反応が起きます。

これを抑えるために免疫抑制剤が使われるのですね。

免疫抑制剤にはいろんな薬の形があって、注射薬や飲み薬や眼薬の軟膏などがあります。

今回はこの中でも免疫抑制剤の眼薬の軟膏について解説していきます。

犬のドライアイ(乾性角結膜炎)とシクロスポリン

我々人間でも馴染み深い言葉であるドライアイですが、犬でもドライアイになり眼に炎症が起きてしまう病気があります。

それが乾性角結膜炎です。

乾性角結膜炎は涙の水分量が減ってしまい、角膜や結膜が乾燥し、炎症や痛みが出てしまう病気です。

この乾性角結膜炎はいろんな原因によって発症しますが、中には過剰な免疫反応が生じて発症する、免疫介在性乾性角結膜炎というものもあります。

過剰な免疫反応によって涙を分泌する涙腺や瞬膜線が線維化するのが、発症の原因のようですね。

この免疫介在性乾性角結膜炎は以下の犬種に多いことが知られています。

・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

・アメリカン・コッカー・スパニエル

・シー・ズー

・パグ

・ヨークシャー・テリア

・ミニチュア・シュナウザー

などですね。

免疫介在性乾性角結膜炎は両側性に発症することが特徴として挙げられます。

このような免疫介在性乾性角結膜炎はその過剰な免疫反応を抑えることで、涙液量を増やすことができると言われているため、免疫抑制剤であるシクロスポリンが有効とされています。

シクロスポリンには即効性がないので、症状の改善を見込むには比較的長期間必要とされます。

そのため、シクロスポリンが効くまでの間一時的に人工涙液の点眼を行うことがあります。

シクロスポリンで涙液量の回復がない場合は別の免疫抑制剤を使用することもあります。

その他の眼科疾患でシクロスポリンの利用

シクロスポリンは免疫抑制剤なので乾性角結膜炎以外の免疫介在性眼疾患にも使われることがあります。

シクロスポリンなどの免疫抑制剤を使うことのある疾患は以下の通りです。

・免疫介在性眼瞼炎

・色素性角膜炎

・慢性表層性角膜炎

・表在性点状角膜炎

・上強膜炎

などです。

意外と多くの病気でシクロスポリンが使われることがあるのですね。

シクロスポリンの副作用

シクロスポリンは飲み薬で使用した時の副作用には嘔吐や下痢などの消化器症状、歯肉が増生すること、免疫力低下などがあります。

中でも嘔吐はかなりの頻度で発症します。

眼科疾患でシクロスポリンを使う場合は眼軟膏を使用することが多いため、消化器症状の副作用は起こりませんが、免疫力の低下により膿のような眼脂(目ヤニ)が増えることがあります。

そのため、シクロスポリンを使う場合は抗菌薬が併用されることもあります。

シクロスポリンの実際の使い方

シクロスポリンの眼軟膏は夏には柔らかくなり、冬には硬くなる傾向にあります。

硬すぎる場合は投与する前に手のひらで温めると柔らかくなりますし、逆に柔らかすぎる場合は冷蔵庫で冷やすと硬くなってくれます。

眼に投与しやすい硬さに調節すると良いでしょう。

適切な硬さになったら片眼約1cmほど直接眼の表面に塗布するか、瞼(まぶた)の内側に塗布しましょう。

まとめ

シクロスポリンは免疫抑制剤という薬に分類されるため、なんとなく「怖い」というイメージを持たれている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、シクロスポリンなどの免疫抑制剤は副作用はあるものの、適切に使うことができれば病気の症状を改善することができる薬です。

しっかり薬のことを理解して愛犬の病気を治す使い方をしてあげましょう。


当院は眼科診療に力を入れています。

愛犬の眼科の治療で悩まれている方はいつでもご相談ください。


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