犬の白内障の手術|手術で白内障を治療する前に知っておきたいこと

  • HOME
  • お知らせ
  • 犬の白内障の手術|手術で白内障を治療する前に知っておきたいこと

犬の白内障の手術

現代のヒトの医学では白内障の手術は比較的安全な手術であり、それゆえ動物の白内障の手術も手術で簡単に治すことができると考える飼い主様もいらっしゃいます。
犬の白内障はヒトの加齢で起こる白内障とは異なり、遺伝や持病、薬物、外傷、感染、炎症により起こる白内障が多いとされています。
そのため犬の白内障は様々な問題を抱えていることを考慮しなければなりません。

今回はそんな白内障について、手術の方法やその手術で起こり得る合併症などを解説していきます。

■目次
1.白内障について
2.白内障手術について
3.適応
4.手術方法
5.合併症
6.術後の過ごし方
7.まとめ

白内障について

白内障とは、水晶体および水晶体嚢が様々な原因により変化し、透明度が低下した状態のことを言います。

日本での飼育が多い小型犬種ではトイプードルやミニチュアダックスフンド、ヨークシャテリア、シーズーでの発症率が高く、日本犬の柴犬も好発犬種と言われています。

犬の白内障は加齢性非加齢性で分けることができ、非加齢性が犬の白内障の症例の大半を占めます。
非加齢性の白内障は進行が早く、比較的若い年齢で見られます。
加齢による白内障は、視覚障害の原因となることは少ないとされています。

治療は内科治療と外科治療に分かれます。

白内障の内科治療は信頼できるデータはまだ出ておらず、白内障の進行を抑制できる可能性があるという程度です。
しかし、白内障の原因になっている病気がある場合や、白内障の合併症が出ている場合は内科治療を行います。

外科治療は白内障の完治を目指す治療です。
しかし全ての白内障の症例が手術を受けることができるという訳ではありません。

今回は白内障の手術について、適応や合併症などを含めより詳しく解説していきます。

白内障手術について

白内障手術には様々なメリットがあります。

白内障の外科治療は内科治療と比較し、白内障で起こる合併症の発症率を1/4倍に抑えることができたという報告があります。
ちなみに無治療の症例では合併症の発生率が外科治療をしたグループの225倍、内科治療をしたグループの64.5倍高かったという報告があります。

白内障の手術はその症例でのメリットとデメリットを比較して明らかにメリットの方が大きい場合に選択されます。

適応

白内障の手術をする最大の目的は、視覚の維持あるいは回復をすること、白内障により起こる合併症のリスクを下げることです。

白内障の手術を実施するにあたり、

  • ・麻酔が可能
  • ・術後の管理として点眼や投薬などのケアができる
  • ・手術の費用
  • ・糖尿病などの持病がコントロールされている
  • ・他の全身性の病気がない
  • ・ペットが点眼を許容できる
  • ・ペットがエリザベスカラーを容認できる

などの条件を満たす必要があります。

手術方法

まず、目の表面に小さく切開を加えます。

次に目の中にある水晶体を包む前嚢という場所の膜を取り除きます。
その後、膜を取り除いた場所から超音波の器械を挿入し、水晶体を柔らかくし、吸引除去します。

吸引した後は、人工のレンズを目の中に挿入し、安定化を確認した後、前眼房をよく洗浄します。

切開をした目の表面を縫って終了です。

合併症

手術を決意された飼い主様は、「合併症は起きないのか?」と不安を感じられることと思います。
白内障手術にも合併症は起こり得ます。

例えば

  • 視覚障害(12%)
  • ・網膜剥離(8.7%)
  • ・緑内障(2.8%)

などが報告されています。
人では10000眼に対して視覚障害は5眼、犬では1190眼ということから、ヒトの手術と比較し合併症も多いです。

術後の過ごし方

手術後は約1週間程度入院します。
術後に起こる合併症や術後は炎症のを抑え、感染の予防をするための点眼をしなければいけません。
そのため、前述した通り、点眼薬が難しい症例は手術の適応とはなりません。
また、1ヶ月は24時間ずっとエリザベスカラーが必要なため、ご飯時や散歩を許可された時にも外すことはできません。
最近増えているドーナツ型や柔らかい素材のカラーも使用できないため、硬いしっかりとしたエリザベスカラーを許容できない犬は手術の適応とはなりません。

まとめ

今回は白内障の外科手術について解説をしました。
人の白内障と犬の白内障は随分異なり、症例ごとに原因や併発疾患も違います。
他の病気と少し異なり、ご家族の協力が必ず必要です。
頻回の点眼や投薬があり、エリザベスカラーをつけているため食事の介助も必要かもしれません。
しかし、手術により得られるメリットもとても大きいものです。
悩まれている飼い主様は一度当院までご相談ください。

 

■眼科の記事はこちらでも解説しています
犬と猫のぶどう膜炎について|白内障や緑内障につながることもある
犬と猫の結膜炎について|まぶたの裏側と白目に症状が現れる
犬の自発性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs)について|角膜潰瘍が治りにくいと感じたら
犬の目やにが増える理由|病気が隠れているかも
犬の目の周りが腫れている?|考えられる原因と対策について

 

診療案内はこちらから

当院のLINE公式アカウントから簡単に予約が可能です

奈良県生駒市の動物病院

Rootsどうぶつ病院