2024/11/21
犬のぶどう膜嚢胞について
犬のぶどう膜嚢胞は眼の中に1つないし複数の袋状の構造物が浮遊する病気です。
犬の飼い主様の中には
「飼い犬の眼の中に何か模様ができて心配」
「眼の中にも腫瘍ができると聞いたことがある」
「今まで犬の眼の検査をしたことがないけど大丈夫かしら」
というお悩みを持たれている方もいるのではないでしょうか?
ぶどう膜嚢胞であれば通常は無治療で経過観察となる場合が多いですが、治療が必要な場合もあります。
今回の記事を通して、飼われている犬の症状に当てはまるかどうか見てみてください。
■目次
1.ぶどう膜嚢胞とは
2.ぶどう膜嚢胞と似ている病気
3.診断
4.ぶどう膜嚢胞の治療
5.まとめ
ぶどう膜嚢胞とは
ぶどう膜嚢胞は別名、虹彩毛様体嚢胞とも言われています。
先天性の疾患であり、遺伝が原因の可能性もあると言われています。
嚢胞という袋状の構造物が眼の前眼房内に浮遊することが多く、眼の中にできる腫瘍との鑑別が必要です。
無症状なことが多いですが、嚢胞の位置や大きさ、数により症状が出る場合もあります。
症状は
- ・眼の表面の浮腫
- ・眼を気にしている
- ・眼が白く濁っている
- ・視覚の障害
- ・白目が赤い
などが見られることがあります。
ゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバー、ボストンテリアなどは遺伝的にできやすく好発犬種と言われています。
ぶどう膜嚢胞と似ている病気
犬の眼の中にできる腫瘍で最も多いのはぶどう膜黒色腫といい、見た目でぶどう膜嚢胞と区別することは難しい場合もあります。
ぶどう膜嚢胞は、それ自体が悪さをすることはありませんが、ぶどう膜黒色腫は腫瘍です。
良性の腫瘍として存在することが多いですが、5%は転移を起こし、腫瘍の発生場所での広がりはあります。
診断
ぶどう膜嚢胞とぶどう膜黒色腫を区別するには眼の超音波検査やライトを当てる検査を行います。
超音波の検査は眼の中にある嚢胞の中が詰まっているか、袋状かを判断します。
また、光を当てて透ける場合も中は液体で満たされていると判断できるため、これらの方法でぶどう膜嚢胞を診断することが可能です。
治療
通常は治療が必要でない場合が多く、そのまま経過観察をします。
しかし、嚢胞の場所、数、大きさによっては眼圧が上がってしまったり、視覚の障害が起こるので治療が必要です。
治療は嚢胞を破壊する方法や吸引する方法があります。
まとめ
今回はぶどう膜嚢胞について解説しました。
犬の眼の中に何かあるとびっくりしてしまいますよね。
眼の中の嚢胞は腫瘍の場合もありますので、様子を見ていると病気が進行する場合もあります。
まずはしっかりと動物病院で診てもらい、それが何なのか診断してもらいましょう。
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