猫の肥大型心筋症について|心臓検査で早期発見をしよう

  • HOME
  • お知らせ
  • 猫の肥大型心筋症について|心臓検査で早期発見をしよう

猫の肥大型心筋症について|心臓検査で早期発見をしよう

肥大型心筋症は猫の心筋症の中で、最も多く見られる病気です。
身体検査で見つけることが難しい場合もあり、気がついた時には病気が進行していることも少なくありません。

今回はそんな猫の肥大型心筋症について解説していきます。

■目次
1.肥大型心筋症とは
2.肥大型心筋症の原因
3.余命
4.肥大型心筋症の症状
5.治療
6.まとめ

肥大型心筋症とは

猫の肥大型心筋症は中年齢以降での発生が多いと言われていますが、子猫の発生報告もあります。

肥大型心筋症を理解するには心臓の構造を理解する必要があります。
まずはこちらの心臓の画像をご覧ください。

肥大型心筋症は心臓の左心室という場所の壁が厚くなる病気で、これにより左心室に十分な血液を溜めることができなくなります。
左心室の血液は全身に送り出されるため、左心室の血液量が減ると、全身に十分な血液を届けることができなくなります。
また壁の厚みが原因で、血液の逆流を防止している弁が歪み、左心室から左心房へと血液の逆流が生じます。

左心房に血液が逆流し、血液の流れがよどみ、血栓を作り動脈血栓塞栓症という病態を引き起こします。

左心房は肺から血液が帰ってくる場所ですが、左心房に血液が逆流し、血液の流れがよどんでいると、肺からの血液が左心房に戻れません。
肺でうっ滞した血液は胸や肺に水が溜まる胸水や肺水腫となり、呼吸困難を引き起こします。

猫の肥大型心筋症は根治治療が難しく、進行を遅らせることが治療となる病気です。

肥大型心筋症の原因

肥大型心筋症の原因の1つには遺伝があり、

  • ・メインクーン
  • ・ラグドール
  • ・アメリカンショートヘア

などは肥大型心筋症を発症する素因があると言われています。
遺伝の他にも、ウイルス感染や炎症の関与が指摘されています。

余命

余命の長さを分ける指標もわかってきていて、

  • ・左心房の拡大
  • ・重度の心筋肥大
  • ・左心室の収縮率の低下
  • ・高血圧の併発
  • ・甲状腺機能亢進症の併発

などがあると、余命は短くなると言われています。

中でも、左心房が拡大しているグループは、拡大していないグループと比較して生存期間中央値が229日と3617日であったという報告があり、かなりの余命差があります。

動脈血栓塞栓症を発症した猫の救命は非常にむずかしく、回復率や再発率の高さから、安楽死が推奨される場合もあります。

肥大型心筋症の症状

症状は全くないことも多く、気づいた時には深刻な状況になっていることも少なくありません。

症状がある場合でも、

  • ・食欲の低下
  • ・元気の低下
  • ・疲れやすい

といった分かりにくい症状から

  • ・呼吸が荒い
  • ・舌の色が悪い
  • ・意識の低下
  • ・血栓が詰まる

といった一刻を争う症状もあります。

中でも血栓が詰まるという症状では、急激な痛みを生じます。
後ろ足に血栓が詰まった場合は急に後ろ足を痛がり、その後は足を動かすことができない麻痺状態となります。

治療

治療は、

  • ・血圧を下げる
  • ・心拍数を下げる
  • ・血栓の予防

などを行います。

不整脈がある場合は、抗不整脈薬を使用します。
また、肺水腫や胸水のリスクがある場合には水を体から出す治療や、心臓の働きを強める薬を使用します。

まとめ

猫の肥大型心筋症は早期に発見し、病気の進行を遅らせる事が治療となります。

しかし猫の心筋症は日常の診察では判断が難しく、発見が遅れ、診断される時には病気がかなり進行していることもあります。
遺伝的な素因がある猫種はもちろん、中年齢以降の猫は心臓の超音波の検査や血圧、心電図の検査を行いましょう。

また、肥大型心筋症の猫は血栓症を発症するリスクがあります。
動脈血栓塞栓症は、発症から治療までの時間が、生死を分けることもあります。
急な痛みや麻痺が起こった場合にはできるだけ早く動物病院にご相談ください。

診療案内はこちらから

当院のLINE公式アカウントから簡単に予約が可能です

奈良県生駒市の動物病院

Rootsどうぶつ病院