眼圧測定ってなに?|眼科診療に欠かせない検査について解説!

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眼圧測定について



眼圧測定は緑内障やぶどう膜炎など、犬や猫の目の病気を診断するために非常に重要な検査です。これらの病気については、以前のブログ記事でもご紹介しましたが、どちらも早期発見が大切です。

しかし、眼圧は犬や猫それぞれで個体差があり、検査の時間やストレスによっても変動します。そのため、愛犬や愛猫の基礎データを正確に把握するためにも、定期的な眼圧測定が必要です。

今回は犬や猫の眼圧測定について解説します。

緑内障についてはこちらで解説しています
ぶどう膜炎についてはこちらで解説しています



■目次
1.眼圧ってなに?
2.眼圧測定の重要性
3.動物の眼圧測定の方法
4.正常な眼圧値
5.眼圧測定の頻度
6.眼圧測定時の注意点
7.まとめ

眼圧ってなに?

眼圧とは、眼球内の圧力のことで、簡単に言うと目のかたさを指します。目の内部には、角膜、虹彩、毛様体、水晶体に囲まれた部分があり、この部分は眼房水という水分で満たされていますが、この眼房水の生産と排出のバランスが崩れると、眼圧が上がったり下がったりします。

眼圧が上がると網膜がダメージを受けて視力が低下し、最悪の場合は失明することもあります。一方、眼圧が下がると、目が丸い形を保てなくなり、物を正しく見ることができませんつまり、眼圧を正常な範囲に保つことは、目の健康にとって非常に大切なのです。




眼圧測定の重要性

<緑内障の早期発見と予防>
緑内障は、徐々に視力を失う病気です。そのため、普段の様子だけでは初期に発見するのが難しく、来院時にはすでに失明してしまっているケースも少なくありません。
しかし、定期的に眼圧測定を行っていれば、早期に異常を発見し、視力を失う前に治療を開始することができます。

また、定期的な眼圧測定によって、緑内障とまではいかなくても、眼圧が上がっている段階で生活習慣の改善を行うことで、緑内障を予防することもできます。

特に緑内障の発症リスクが高いシベリアンハスキー、アメリカンコッカースパニエル、シーズーなどの犬種や、シャム、ペルシャ、バーミーズなどの猫種では、若い時期から注意して定期的な眼圧測定を行うことが重要です。


<ぶどう膜炎など眼疾患の診断補助>
眼圧測定は、ぶどう膜炎や網膜剥離などの診断にも役立ちます。
ぶどう膜炎では眼圧が上昇し、失明に至ることもありますが、初期症状はわかりにくく、気づいたときには手遅れになることもあります。

また、網膜剥離では眼圧が低下しますが、これも無症状のことが多く、発見が遅れるケースが多数あります。


<治療効果のモニタリング>
緑内障やその傾向が早期に発見され、点眼治療や食事療法など生活改善をはじめた場合、その効果をモニタリングするためにも眼圧測定は役立ちます。

動物の眼圧測定の方法

眼圧測定にはいくつかの方法がありますが、大きく分けて3つのタイプがあります。機器によって測定結果の数値が少し異なることがあるため、継続して測定する場合は同じ機器を使うことが推奨されます。

<非接触式眼圧計>
風圧を当てたときの目の凹み具合から眼圧を測定する方法です。人間の眼科で行われる、目に風をシュッと当てる検査がこれにあたります。
しかし、犬や猫が驚いてしまって、目を開けたままにするのが難しいため、あまり使用されていません。

<アプラネーション眼圧計>
目の表面に軽く触れて、その部分を平らにするために必要な圧力を測定します。これにより、眼圧がわかります。
獣医療の現場では、ハンディタイプの眼圧計「Tono-Pen VET」というハンディタイプの眼圧計がよく使われています。
この検査は点眼麻酔をしてから行いますので、痛みはありません。


<リバウンド眼圧計>
細いプローブ(針のようなもの)を目に軽く当て、そのプローブが目から跳ね返ってくるスピードを測定し、眼圧を測定します。
獣医療の現場では、「Tono Vet」というハンディタイプの眼圧計がよく使われています。
この方法では点眼麻酔が必要ありませんが、高眼圧の場合には「Tono-Pen VET」よりも高い値が出る傾向があります。

正常な眼圧値

犬の正常な眼圧値は10〜20 mmHg、猫の正常な眼圧値は15〜25 mmHgです。
犬の眼圧が25 mmHg、猫の眼圧が27 mmHgを超えると、緑内障と診断されます。


眼圧測定の頻度

目の健康を守るためには、定期的な健康診断での眼圧測定が大切です。特に高齢になると眼圧が上がる傾向があるため、5〜6歳を過ぎたら最低でも年に1回は眼圧を測るようにしましょう。

また、シベリアンハスキー、アメリカンコッカースパニエル、シーズーなどの犬種や、シャム、ペルシャ、バーミーズなどの猫種は、若くても緑内障を発症するリスクがあります。
これらの犬種・猫種は、若いうちから定期的に眼圧を測定し、早期発見と早期治療を心がけましょう。


眼圧測定時の注意点

眼圧はストレスの影響で上昇することがありますので、眼圧測定の当日や前日には、できるだけストレスをかけないように心がけてください。
また、食事内容や運動によっても眼圧が上がることがあるため、検査前は普段通りリラックスして過ごすようにしましょう。

さらに、眼圧は測定する時間によって結果が変わることがあります(日内変動)。そのため、検査は毎回同じ時間帯に行うことが望ましいです。

正確なデータを得るためには、飼い主様のご協力が欠かせません。愛犬や愛猫の目の健康を守るために、ご理解とご協力をお願いいたします。


まとめ

眼圧測定によって早期に発見できる緑内障やぶどう膜炎は、対応が遅れると失明に至ることもある病気です。そのため、定期的な目の健康診断をお勧めします。

また、眼圧は個体差があるため、愛犬や愛猫の基礎データを取ることが重要です。病気になってから検査するのではなく、健康な状態で検査しておくことで、病気の早期発見や予防ができます。
愛犬や愛猫の目の健康を守るために、ぜひ定期的な眼圧測定を受けましょう。



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