2025/03/14
犬の白内障には目薬が効果的?|犬の白内障と治療について獣医師が解説
白内障は良く聞く目の病気ですが、実際どういったものなのかは分からないという飼い主様も多いかと思います。
目の病気と聞くと
「白内障は目薬によって治療ができないのか?」
「白内障と診断されてから点眼をしているけど、どんな効果があるか知りたい」
「白内障で手術以外の方法があるのか知りたい」
と思う飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか?
ぜひこの記事を読んでいただき、犬の白内障にはどのような治療があるのかを知っていただければと思います。
犬の白内障とは
白内障とは、目の中にある水晶体という部分の透明性が無くなった状態のことを言います。
加齢と共に発症しますが、遺伝性や糖尿病などの病気で発症する犬もいます。
特に遺伝性の白内障は2歳までに発症することも多く、進行が早いことが特徴的です。
白内障が進んでいくと視覚に異常が生じ、物によくぶつかるようになります。
高確率でぶどう膜炎という目の炎症を引き起こすため、白目が充血します。
ステージ
白内障は、その状態によりステージ分類がされています。
ステージは初期から順に
- 初発白内障
- 未熟白内障
- 成熟白内障
- 過熟白内障
に分けられます。
初発白内障
初発白内障はかなり初期の白内障です。
水晶体が少し混濁した状態で、見た目での判断は困難です。
病院での眼科検査で検出できるレベルで、まだ視力に影響はありません。
未熟白内障
未熟白内障では、見た目で水晶体の濁りが観察できる場合があります。
水晶体に透明な部分は残っているため、日常生活での視覚に問題はありません。
成熟白内障
成熟白内障は、水晶体の大部分が混濁している状態です。
飼い主様から見ても、水晶体が白く濁っていることが容易に観察できます。
この辺りから視覚も低下し、日常生活ではよく物にぶつかるようになります。
過熟白内障
過熟白内障は水晶体が液体化した状態です。
水晶体が通常の大きさから縮小します。
視覚は無くなり、一般的にぶどう膜炎を伴います。
目薬とは
目薬は薬の成分を水分に溶かし、目の表面から吸収できるようにした物です。
飲み薬では、薬の効果が目に届くまでに時間がかかったり、効果が薄い場合があります。
そこを補えるのが目に直接、薬を入れることができる目薬です。
最近では動物用の目薬も数多く出ています。
その種類も多岐に渡り、目の表面の保護から抗炎症薬まで様々です。
目薬はいつまで使える?
飼い主様の中には「以前もらった目薬をさしました。」とおっしゃられる方もいます。
目薬の使用期限は開封後、約1ヶ月であることが多いです。
防腐剤の入っていないものは菌の繁殖を起こしやすいので、必ず獣医師に確認してから点眼しましょう。
白内障には目薬?
実際、犬の白内障について調べたことがある飼い主様は、白内障の治療として目薬があると知っている方もいらっしゃるかもしれません。
目薬で治すことができるのであれば、それに越した事はないと思われるでしょう。
では実際に目薬は白内障を治すことができるのか、解説していきます。
白内障は目薬で治せるのか
目薬には、水晶体の混濁を取り除く効果はありません。
成熟白内障のように既に視覚に障害が出ている場合は、目薬ではどうすることもできません。
白内障用の目薬にできること
白内障用の目薬は、白内障の進行を抑えることが可能です。
特に未熟白内障までの初期ステージでは、効果があるとされています。
ただし、初期であっても遺伝性の白内障は進行が早く、点眼薬でのコントロールは難しいと言われています。
では遺伝性や白内障が進行してしまったら、治療法はないのでしょうか?
白内障の治療
白内障の治療には外科手術が効果的と言われています。
外科手術は、現時点では視覚改善やぶどう膜炎などの合併症を軽減できる唯一の方法です。
白内障の手術の成功率を高めるためには、いくつかの条件があります。
ぜひ条件をチェックしてみてください。
- 全身麻酔が可能
- 未熟〜成熟白内障の初期である
- 目薬、内服薬の投薬が可能
- エリザベスカラーの装着が可能
- 攻撃的な性格でない
- 糖尿病など、持病のコントロールができている
- 他の目の病気がない
もちろん犬や飼い主様の頑張りで、フォローできることも多いと思います。
しかし、目は非常に繊細な臓器なので、他の手術よりも気を付ける必要性があります。
術後に目を擦ることがないよう、手術の後は食事中も寝るときもエリザベスカラーの装着が必須です。
また、目薬を一日に何度も、長期間さす場合もあります。
目薬が苦手な犬は手術は不向きと言えるでしょう。
手術ができた犬では、視覚が術後1〜3年で83〜95%維持できている、という報告があります。
そのため、手術を実施することで視覚が長期間、維持できると考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
鼻が効く犬も、視覚が無くなると日常生活にも支障が出ます。
犬の白内障は徐々に進行していく病気で、末期には様々な合併症も引き起こされる可能性があります。
残念ながら、今のところ目薬で白内障を治すことはできません。
視覚を維持あるいは取り戻すには、手術が唯一の治療法と言えます。
「白内障の進行を遅らせてあげたい。」
「手術ができるか相談したい!」
と思われている飼い主様は、一度当院までご相談ください。
当院は眼科に力を入れている病院です。
愛犬に合った治療方法を一緒に考えていきましょう。
奈良県生駒市の動物病院
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