犬の膝蓋骨脱臼について

犬の膝蓋骨脱臼

     
  1. 犬の膝蓋骨脱臼とは
  2.  
  3. 膝蓋骨脱臼の実際の症例

 


犬の膝蓋骨脱臼とは


皆さん「膝のお皿」という言葉は聞いたことあるでしょうか?
私たちが膝を触った時に一番最初に触れる硬い部位のことですね。
この「膝のお皿」のことを「膝蓋骨(パテラ)」と言います。
ワンちゃんの病気の中には膝蓋骨脱臼という病気があります。
読んで字のごとく膝蓋骨が脱臼する病気ですが、まずは下の画像を見ていただきましょう。



いかがでしょうか?
この写真のように膝蓋骨が本来ある場所から外れていしまうのですね。
膝蓋骨脱臼は違和感によって足を挙げるようになったり、関節炎に移行して痛みが生じることがあります。

膝蓋骨脱臼は4つのグレードに分類されます。
グレード1が人が膝蓋骨を脱臼させようと思えば脱臼させられる状態です。
基本的に常に膝蓋骨は正しい位置にあります。
グレード2が頻繁に足の曲げ伸ばしによって脱臼したり、元の位置に戻ったりするような状態です。
違和感から足を上げていることが多くなってきます。
グレード3が基本的に常に脱臼しているけど、手を加えれば元の位置に戻せる状態のことです。
グレード4が常に脱臼していて、もうすでに元の位置に戻せない状態のことです。
一般的にはグレードが進めば進むほど手術をした方がいいと言われています。

今回ご紹介するのは、この膝蓋骨脱臼をしてしまったワンちゃんです。



 

膝蓋骨脱臼の実際の症例


今回のワンちゃんは7歳のチワワです。



診察してみると左後肢を痛そうに挙げていました。
レントゲン検査を実施すると膝蓋骨脱臼が認められました。



この写真から膝蓋骨が内側に脱臼していることがわかりますね。
このワンちゃんは足の曲げ伸ばしによって膝蓋骨が脱臼したり、元の位置に戻ったりしていたので、膝蓋骨内方脱臼のグレード2と診断し、手術による治療を行いました。

ここから手術の画像が出ますので苦手な方はご注意ください。





膝蓋骨が収まっている溝(滑車溝)を露出してます。



滑車溝を削って溝を深くしています。



手術後のレントゲン検査で膝蓋骨が元の位置に戻っていることがわかります。
手術後は痛みが少なくなりしっかり歩けるようになりました。

膝蓋骨脱臼は小型犬に非常に多く、飼育頭数の多い日本ではとても多い疾患です。
詳しい診断には精密検査が必要ですが、実は膝蓋骨脱臼があるかどうかは触診だけでわかります。
若いうちに動物病院に連れて行き、獣医師の診察を受けることで早期発見することができます。
「他のワンちゃんと比べておかしな歩き方をしている…」
「足を痛そうにしている…」
などあればご相談ください。

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Rootsどうぶつ病院 院長
滝本 功卓