2023/12/12
犬と猫の去勢手術の重要性
オス犬や猫の飼い主様には、繁殖を希望していないのであれば、若いうちに去勢手術をすることをおすすめしています。
ただ、「人間の都合で手術しまうなんてかわいそう」「今元気なのにどうして手術が必要なの?」とおっしゃる飼い主様もいらっしゃいます。
そこで今回は、犬や猫の去勢手術について、メリットと注意点、なぜすすめるのかを解説していきます。
■目次
1.去勢手術とは
2.去勢手術のメリット
3.去勢手術の注意点
4.忘れがちなポイント
5.まとめ
去勢手術とは
去勢手術は、陰嚢から精巣を取り出す手術です。
繁殖能力をなくすだけでなく、オス特有の病気の予防や、性ホルモンに関連した問題行動とそれに伴うストレスを減らす効果があります。
全身麻酔をかけて手術を行いますが、精巣は皮膚の下にあるため、避妊手術のようにお腹を開けることはありません。(腹腔内陰睾の場合は開腹手術が必要です)
犬も猫も、おおよそ6ヶ月ほどから手術が可能で、若いうちの手術をおすすめしています。
なお、当院では可能な限り手術の際に縫合糸を残さないための血管シーリングシステムを導入しています。
このシステムを導入することで、「手術時間の短縮」、「安全かつ確実な止血」、「縫合糸を極力体内に残すことのない手術」など、様々なメリットがあります。シーリングシステムを用いた手術についてご不明な点がございましたら、当院までお気軽にご相談ください。
去勢手術のメリット
・高齢期の病気を予防する
去勢をしていないオスの犬や猫では、高齢になるにつれ、前立腺肥大や会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫、精巣腫瘍などの発生率が上がります。
どの病気もなってしまうと治療にお金も時間がかかり、手術や介護が必要になってしまう場合もあります。
若いうちの去勢手術は、こうした高齢になってからの病気を防ぐ効果があると考えられています。
・性ホルモンによる問題行動やそれに伴うストレスを防ぐ
去勢手術をすると男性ホルモンが低下するため、攻撃性が下がる傾向にあります。他の犬や猫、人間に対する攻撃性が下がるため、人間社会で生活しやすくなります。
犬も猫もオスに発情期はなく、近くに発情しているメスがいると発情します。発情すると縄張り意識が高まり、マーキング行動といってトイレ以外の場所で不適切に尿をしたり、メスを求めて脱走しようとしたり、人間の足やぬいぐるみにまたがって腰を振るマウンティングという行動をすることがあります。
こうした行動は、男性ホルモンによる本能的な欲求であるため、しつけで抑えるのは困難です。また、叶えられない欲求は犬や猫にとって大きなストレスとなってしまいます。
去勢手術は、こうした問題行動の解決やストレスを減らすことに役立ちます。
ただし、手術の時期が遅すぎると、マーキングなどの行動が習慣として残ってしまいますので、若い時期での去勢手術をおすすめします。
去勢手術の注意点
・太りやすくなる
避妊手術も去勢手術も、性ホルモンが低下するため、ホルモンバランスが崩れて太りやすくなります。
これは、避けられないデメリットです。同じ量を食べさせても太りますので、去勢手術後は食事量に注意しましょう。ダイエット用や「去勢・避妊後」と表示された専用のフードを利用するのもおすすめです。
・麻酔のリスクはゼロではない
手術は全身麻酔下で行いますが、麻酔のリスクがゼロになることはありません。
1%以下と確率はとても低いものですが、麻酔が原因で亡くなってしまうこともあります。
当院では、こうした不幸な事故が起こらないよう、術前検査を行い、麻酔のリスクがないかを事前に調べて、リスクの低減を図っています。
また、犬も猫も若い動物の方が麻酔からの覚醒も早いため、若いうちの手術をおすすめしています。
忘れがちなポイント|災害時の同行避難のマナーとして
最近、ペットを連れて行ける避難所が増えました。(同行避難)
避難所によっては、同伴避難といってペットと同じスペースで過ごせるところもあれば、ペット用の避難場所が別であるところもあります。
どちらにせよ、ペットと同行避難をする場合、自分のペットが他の避難者や動物に迷惑をかけないことが重要です。
避難所によっては受け入れ条件に「避妊去勢手術の実施」が入っているところもありますので、災害時の備えとしても、去勢手術は重要だといえます。
まとめ
今回は犬と猫の去勢手術についてお話ししました。
今は若くて健康な犬や猫でも、歳をとるにつれて病気になりやすくなります。
去勢手術はオス特有の高齢期の病気を予防するだけでなく、マーキングなどの問題行動の抑制、メスを求める欲求へのストレスをなくすことにも効果があります。
「かわいそう」と思うお気持ちはわかりますし、麻酔のリスクがゼロになることはありませんが、去勢手術にはそれ以上のメリットがあります。
オスの犬や猫と暮らしている飼い主様には、ぜひお考えください。
実際の手順や費用については、いつでもお問い合わせください。
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