2024/02/12
犬と猫の白内障について
白内障は、水晶体というレンズの役割を担う目の部分が白く濁る病気です。
猫ではあまり多くありませんが、犬ではしばしば見られます。
目が見えにくくなるだけでなく、ぶどう膜炎や緑内障につながるリスクがありますので、早めに発見し、進行度合いに合わせた適切な治療を行うことが大切です。
今回は犬や猫の白内障について、原因や症状、治療方法、おうちで気をつけていただきたいことなどを紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
白内障の原因には、先天性(生まれつき)と後天性があります。
・先天性白内障
若いうちから発症することが多く、その原因には遺伝的要因が関与していると考えられています。
トイ・プードル、柴、チワワ、ミニチュア・シュナウザー、コッカー・スパニエル、ビーグル、ジャックラッセル・テリアなど、さまざまな犬種に遺伝的な素因があることが知られています。
先天性白内障は若くても発症するため、若いうちからの定期的な眼科健診をおすすめします。
・後天性白内障
老化によるもの、糖尿病など全身の病気に関連して起こるもの、目の病気に併発するものや、怪我が原因となるものもあります。
老化による白内障を老齢性白内障と呼びますが、犬では7歳以上での発生が多いものの、進行のスピードはさまざまで、一気に視力を失うまで進行する子もいれば、視力を失わないまま寿命をまっとうする子もいます。
猫の白内障は、怪我による後天性白内障が多いようです。
症状
白内障は「初発」「未熟」「成熟」「過熟」の4つにグレード分けされます。
・初発白内障
水晶体の白濁は全体の15%未満。視力の低下はほぼない。
・未熟白内障
水晶体の15%以上が白濁。視力の低下はあるが、見えなくはない。
・成熟白内障
水晶体のほぼ100%が白濁。完全に視力を失う。瞳に切れ込みのような模様が見えることも。水晶体が膨らみ、水晶体脱臼を起こすこともある。
・過熟白内障
水晶体の融解や脱臼が起こる。目の中に漏れ出した融解した水晶体成分が炎症を起こしぶどう膜炎を誘発することも。
視力の低下は、以下のような行動の変化として現れます。
・物にぶつかりやすくなる
・動きがにぶくなる
・暗闇を嫌がる
・(目が見えない不安から)攻撃的になる
進行のスピードには個体差があるため、進行が遅く、目が少し濁っているだけで生涯を終えるケースもありますが、急激に進行して目が真っ白になってしまったり、水晶体脱臼やぶどう膜炎から目に強い痛みが生じたり、緑内障を続発させることもあります。
グレードが上がると併発疾患も増え治療が難しくなりますし、治療が困難な場合は最終的に眼球摘出をしなければならない場合もあります。
こうした事態に陥らないためにも、初期段階で発見し、白内障のみの段階で治療することが重要です。
なお、水晶体が白く濁る原因に核硬化症というものもありますが、こちらは視力を失うものではなく、治療も必要ありません。
診断方法
問診で普段の様子に変化がないかを確認したうえで、視診で瞳に白濁がないかを観察します。
また、スリットランプ検査により角膜と水晶体の断面を調べ、眼圧検査など眼科検査を行います。
血液検査、超音波検査などを行うこともあります。
治療方法
白内障の治療には内科治療と外科手術があります。
内科治療は進行を遅らせることを目的に、点眼薬とサプリメントで経過を観察します。
進行した白内障を内科治療で治すことはできませんので、初期の段階で始めることが重要です。
すでにグレードが上がっているもの、内科治療で経過を見ていたが進行したものについては、手術が適用となります。
当院では未熟から成熟の段階で手術をおすすめしています。
手術を行う場合は、手術可能な設備があり、経験が豊富な専門の病院を紹介いたします。
なお、進行して緑内障やぶどう膜炎などを併発している白内障では手術ができないこともあります。
予防方法やご家庭での注意点
先天性の白内障は比較的若い年齢から発症しますが、普段の様子から初期に発見するのは難しいかもしれません。
このため、若くても眼科検診を含めた健康診断を定期的に行うことをおすすめします。
また、普段から目の様子や行動はよく観察し、目が白っぽい、物にぶつかるようになったなどの異変があれば、お早めにご相談ください。
まとめ
白内障は目が白くなり視力が少し低下するだけの場合もあれば、急速に悪化してぶどう膜炎や緑内障を起こし、最終的に眼球摘出が必要になる場合もあります。
早期に発見できれば早い段階で治療を始められますので、若くても目が白っぽくなった、物にぶつかりやすくなったなどの変化が見られたら、お早めにご来院ください。
また、定期的な眼科検診は早期発見に役立ちます。気になる方は、スタッフにご相談ください。
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