2024/03/08
犬と猫の角膜ジストロフィー
角膜ジストロフィーは角膜に白斑が見られる目の病気です。
犬では遺伝性の病気と考えられていて特定の犬種での発生が多く見られますが、猫での発症は稀です。
基本的に目に違和感はなく視力に影響はありませんが、病変が現れた部位によって角膜浮腫や角膜潰瘍を合併すると痛みや炎症が見られます。
今回は犬と猫の角膜ジストロフィーについて、原因や症状、治療方法などを紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
角膜ジストロフィーは黒目の表面である角膜に、白い斑点のような濁りが見られる病気で、この白濁はコレステロールやリン脂質、中性脂肪が沈着したものです。
なぜこのようなことが起こるのかについては、今のところ、はっきりわかっていませんが、犬では以下の犬種によく見られるため、遺伝性の要因があると考えられています。
・トイ・プードル
・ミニチュア・シュナウザー
・シベリアン・ハスキー
・ビーグル
・シェットランド・シープドッグ
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・エアデール・テリア など
ただし、これ以外の犬種や猫でも発生します。
症状
角膜の中心に、白い楕円形〜円形の斑点のような濁りが見られます。
この白濁は両目に発生することもあれば、片目のみのこともあります。
通常は角膜の外側(上皮、実質)に病変が現れ、痛みや違和感、視覚障害などは起こることはほとんどありません。ただし、白斑が大きくなり視界が妨げられると気にして目をこする様子が見られることがあります。
角膜の内側(内皮)に病変がある場合は、角膜浮腫を起こし、そこから角膜潰瘍を合併することがあります。この場合は、痛みや炎症、視覚障害が現れ、涙が出る、目をしょぼつかせる、歩くときにぶつかるなどの症状が見られます。
診断方法
患部の観察や犬種からこの病気が疑われた場合は、似た症状を見せる他の病気(角膜浮腫や角膜潰瘍、白内障など)の除外や併発疾患の確認のために、各種眼科検査を行います。
また、血液検査やホルモン検査なども行うことがあります。
治療方法
現在のところ、角膜ジストロフィーに対する治療法は確立されていません。
症状が軽度の場合、ほかに目の病気を併発していなければ、治療をせずに経過を見ることもありますし、状況に応じて点眼薬やサプリメントなどを使用することもあります。
進行して角膜浮腫や角膜潰瘍などを併発した場合は、その治療を行います。
また、重症化してしまった場合や視力障害を起こしている場合は、外科手術が適応になることもあります。
当院では角膜ジストロフィーに対しての治療で、進行を抑制したり薄くすることが可能です。
予防法やご家庭での注意点
遺伝性の病気と考えられているため、残念ながら予防法はありません。
目が白く濁る病気は他にもいくつかあり、原因ごとに適切な対応が変わります。
何か異変が見られたら、お早めに受診してください。
まとめ
角膜ジストロフィーは黒目の表面に白斑が見られる病気です。
遺伝性の病気と考えられていて、現段階では治療法は確立されていませんが、軽度であれば視力に影響はなく違和感もないため、問題なく日常生活を送れるでしょう。
ただし、目の表面が白くなる病気は角膜ジストロフィー以外にもありますので、適切な対応をするためにも、異常が見られたらお早めに来院してください。
当院では比較眼科学会に所属する院長を中心に、眼科診療に力を入れております。
眼科診療専門の器具を揃えた上で、専門的な技術を有するスタッフによる手術にも対応しておりますので、何か異変を感じたらすぐにご相談ください。
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