猫の角膜黒色壊死症について|猫の目の表面に黒い沈着物?

猫の角膜黒色壊死症について


動物にはさまざまの病気があり、その病気は人や犬猫に共通するものが多いです。

しかし、今回ご紹介する角膜黒色壊死症は猫に特有の病気であるとされています。

角膜黒色壊死症は時に強い痛みを引き起こし、猫の生活の質を落とします。

今回はこの角膜黒色壊死症について解説していきます。

■目次
1.角膜黒色壊死症とは
2.角膜黒色壊死症の症状
3.角膜黒色壊死症の診断
4.角膜黒色壊死症の治療
5.まとめ

角膜黒色壊死症とは

角膜黒色壊死症は眼の表面に黒い物質が沈着する病気で、この沈着物はメラニン、鉄、壊死組織などからできていると考えられています。

全ての猫に発生する可能性がありますが、特に

  • ・ペルシャ
    ・バーミーズ
    ・ヒマラヤン
    ・シャム

が好発猫種と言われています。

比較的若い頃の発症が多いと言われていますが、5ヶ月~17歳とかなり幅広い年齢が報告されています。

性差はなく、両眼よりは片眼での発症が多いとされています。

明らかな原因は分かっていませんが、好発猫種があることから遺伝の可能性が示唆されています。

その他ウイルス感染や、外傷、慢性的な眼の表面への刺激などが要因として考えられています。

角膜黒色壊死症の症状

目の表面に黒い病変が観察されることが特徴的です。

その病変の周りには目の表面の浮腫が起こり、少し濁ったようなもやもやした病変がドーナツ状に確認されることもあります。

上記に加え、

  • ・白目の充血
  • ・眼を開けづらそうにする
  • ・瞬膜(第三眼瞼)の突出
  • ・涙の量が増える

なども起こります。

角膜黒色壊死症の診断

特徴的な眼の症状で診断可能です。

ただし似たような症状を出す

  • ・好酸球性角結膜炎
  • ・角膜異物
  • ・色素性角膜炎
  • ・デスメ膜瘤

との鑑別は必要です。

角膜黒色壊死症に続発して、角膜に傷がついている場合は同時に治療が必要です。

角膜黒色壊死症の治療

治療は、原因として考え得るものを一つずつ排除していくことが主となります。

ウイルス感染の可能性が高い場合は抗ウイルス薬を使用し、瞼の内反、眼の表面の刺激になりそうなものがある場合は取り除きます。

痛みがそれほど強くない場合は上記の治療に加え、抗生剤の点眼や眼の表面の潤いを保つ点眼、サプリメント、エリザベスカラーの装着により内科的に治療します。

これらの治療により2ヶ月で約59%が回復したとの報告があります。

しかし、痛みが強い場合や病変が深い場合は外科的な切除を必要とする場合もありますので、獣医師との十分な話し合いが必要です。

まとめ

角膜黒色壊死症は治療に時間がかかる病気です。

治療中でも眼に穴が開いてしまうリスクがあり、また治療後には再発に注意が必要となります。

黒い病変が小さいうちは猫も痛みや違和感が少なく、また治療も比較的短期間で行うことが可能です。

小さな眼の違和感を見逃さないためにも、毎日のコミュニケーションの一つとして愛猫の眼を観察していきましょう。

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